森英介(もり・えいすけ)氏は、千葉11区を地盤に長く衆議院議員を務め、2026年2月に第81代衆議院議長へ就任した政治家です。
一方で、父や祖父も政財界で活動した家系、上皇后美智子さまにつながる姻戚関係、ホテル三日月との関係、法務大臣時代の仕事など、政治経歴だけでは分かりにくい部分も少なくありません。特に「引退理由」については、森氏は現在も引退しておらず、2026年の衆院選で13回目の当選を果たしています。
- 2026年2月18日に衆議院議長へ就任
- 千葉11区選出で、衆院選は通算13回当選
- 東北大学工学部卒、川崎重工業勤務を経て工学博士を取得
- 麻生内閣で法務大臣を務めた
- 父は元環境庁長官・森美秀氏、祖父は実業家・政治家の森矗昶氏
- 妻・葉子さんは弁護士。子供は一男一女
森英介氏のプロフィール|現在は衆議院議長
| 名前 | 森 英介(もり えいすけ) |
|---|---|
| 生年月日 | 1948年8月31日 |
| 年齢 | 78歳(2026年9月29日時点) |
| 所属 | 自由民主党所属の衆議院議員 ※衆議院では議長として会派「無」 |
| 選挙区 | 千葉県第11区 |
| 当選回数 | 13回 |
| 現在の役職 | 第81代衆議院議長 |
| 初当選 | 1990年・第39回衆議院議員総選挙 |
| 学歴 | 東北大学工学部卒業、名古屋大学より工学博士号 |
| 前職 | 川崎重工業社員 |
| 主な役職歴 | 法務大臣、厚生労働副大臣、衆議院憲法審査会長、衆議院厚生労働委員長など |
| 家族 | 妻・葉子さん(弁護士)、一男一女 |
| 公式情報 | 衆議院議員プロフィール/自民党公式プロフィール |
党籍と衆議院での表示が違う点には注意が必要です。自民党は現在も森氏を所属議員として掲載していますが、衆議院の役員一覧では、議長の森氏と副議長の石井啓一氏はいずれも会派が「無」とされています。議長として党派を離れた立場で議事を運営しているためです。
森英介氏は引退していない|2026年に13回目の当選
森氏について「引退理由」「後継者」といった情報を探すと、すでに政界を退いたように見えることがあります。しかし、2026年9月現在も現役の衆議院議員です。
2026年2月8日の第51回衆議院議員総選挙では、自民党公認で千葉11区から立候補し当選。その後、2月18日の特別国会で衆議院議長に選出されました。現在の自民党公式プロフィールも当選13回としています。
| 候補者 | 政党 | 得票数 |
|---|---|---|
| 森英介 | 自由民主党 | 102,843票 |
| たがや亮 | 中道改革連合 | 50,561票 |
| 椎名史明 | 日本共産党 | 13,783票 |
投票率は51.42%。森氏の得票率は61.5%でした。出典:選挙ドットコム・千葉11区
したがって、現時点では「引退したため後継者が必要になった」という状況ではありません。森氏本人が引退を表明し、後継候補を正式に指名したという事実もありません。
衆議院議長選挙では464票中463票を得て議長に選出されました。就任時には、議長としての姿勢を次のように述べています。
「議院の公正円満な運営に全力を傾注いたします」
出典:衆議院・第221回国会本会議
森英介氏の家系図|父・祖父も政財界で活動
森氏の家系で中心になるのが、祖父の森矗昶(もり・のぶてる)氏です。森矗昶氏は実業家として森コンツェルンを築き、昭和電工の前身となる企業群を手掛ける一方、衆議院議員も務めました。
- 祖父:森矗昶 ― 実業家・元衆議院議員、森コンツェルン創設者
- 父:森美秀 ― 元衆議院議員、元環境庁長官
- 森英介 ― 衆議院議長、元法務大臣
- 祖父の娘・森睦子(三木睦子) ― 元首相・三木武夫氏の妻
- 祖父の娘・森満江 ― 安西孝之氏の母
- 安西孝之氏 ― 森英介氏と同じ森矗昶氏の孫にあたり、森氏とはいとこの関係
家族関係はコトバンク「森矗昶」などで確認できます。
父・森美秀氏は環境庁長官を経験
父の森美秀(もり・よしひで)氏も自民党の衆議院議員で、7回当選。中曽根内閣で環境庁長官を務めました。森英介氏は、父の死後に行われた1990年の衆院選で初当選し、国政へ入っています。
祖父、父、本人と三代にわたり国政に関わっているほか、祖父の娘・睦子さんが三木武夫元首相の妻だったことから、森家は昭和期の政財界に複数のつながりを持つ家系です。
妻・葉子さんは弁護士、子供は一男一女
2026年の千葉11区選挙公報には、森氏の家族について「妻・葉子(弁護士)と一男一女」と掲載されています。
息子と娘が1人ずついることは本人側の選挙公報で公表されていますが、現在の職業など、公式資料で確認できない私生活上の情報まで断定するのは避ける必要があります。
上皇后美智子さまとは血縁ではなく、安西家を介した姻戚上のつながり
森氏と皇室の「親戚関係」を考える際に出てくるのが、いとこの安西孝之氏です。
森英介氏と安西孝之氏は、いずれも森矗昶氏の孫です。そして安西孝之氏の妻・恵美子さんは、上皇后美智子さまの妹です。
森英介氏
↓ いとこ
安西孝之氏
↓ 妻
安西恵美子さん
↓ 姉
上皇后美智子さま
つまり、森英介氏と上皇后美智子さまが血縁関係にあるわけではありません。 森氏のいとこの妻が美智子さまの妹という、婚姻を介したつながりです。
また、SNSなどでは安西家と秋篠宮皇嗣殿下の血縁をめぐる説も流れていますが、宮内庁は秋篠宮皇嗣殿下について明確に「上皇第2皇男子」としています。森家・安西家との別の血縁を示す公的資料はありません。
ホテル三日月・森ビルとはどんな関係?
ホテル三日月は選挙区内の企業で、政治活動上の接点がある
ホテル三日月と森氏の関係は、森氏の地盤である千葉県外房地域を見ると分かりやすくなります。
勝浦市のホテル三日月は森氏の選挙区内にある主要な観光施設です。2020年に中国・武漢から帰国した人々を受け入れた際にも、当時の麻生派関係者は同ホテルを「森英介先生のご地元(勝浦市)にあるホテル三日月」と説明しています。
2022年に「ダナン三日月 JAPANESE RESORTS & SPA」が開業した際には、森氏も安倍晋三氏、麻生太郎氏、二階俊博氏らとともに祝辞ビデオを寄せました。
森氏がホテル三日月の経営者、オーナー、創業家の一員だとする信頼できる資料は確認されていません。 地元選出の国会議員として接点がある、と整理するのが事実関係に沿っています。
森ビル創業家とは別の「森家」
森氏と「森ビル」を結び付ける情報もありますが、森ビルの公式沿革によれば、同社の創業者は森泰吉郎氏です。
一方、森英介氏の祖父は森矗昶氏で、森コンツェルンや化学工業の分野で活動した人物です。少なくとも両者の公式な経歴資料から、森英介氏が森ビルの経営一族であるとは読み取れません。
「森」という名字が同じことだけを根拠に、森ビルとの親族・経営関係を断定することはできません。
出典:森ビル公式・歴史/沿革
森英介氏の若い頃と学歴|川崎重工の技術者から政治家へ
森氏は政治家になる前、工学分野を専門としていました。東北大学工学部を卒業後、川崎重工業へ入社し、研究開発に携わっています。
1984年7月には、原子力プラントに関する研究成果によって名古屋大学から工学博士号を授与されました。現在の衆議院公式プロフィールにも記載されている経歴です。
- 東北大学工学部を卒業
- 川崎重工業へ入社
- 原子力プラント分野の研究に従事
- 1984年、名古屋大学から工学博士
- 1990年、第39回衆院選で初当選
政治家として原子力問題調査特別委員長を経験し、現在もエネルギー政策で原子力・核融合に言及している背景には、こうした技術者としての経歴があります。
森英介氏がやったこと|法務・社会保障・憲法分野での仕事
森氏は1990年の初当選以降、労働、厚生労働、法務、憲法などの分野で役職を重ねてきました。
| 時期・役職 | 主な仕事・関与 |
|---|---|
| 1996年ごろ | 自民党外交部会長として国連海洋法条約批准に向けた党内調整 |
| 2003~2005年 | 厚生労働副大臣を務め、年金制度などを担当 |
| 厚生労働委員長時代 | 健康保険制度改革などの国会審議を担当 |
| 2008~2009年 | 麻生内閣の法務大臣 |
| 2016年以降 | 衆議院憲法審査会長を歴任 |
| 2026年 | 第81代衆議院議長に就任 |
自民党が2021年の衆院選で掲載した森氏の実績では、国連海洋法条約批准、国民年金法・健康保険法の改正、国籍法改正、入管法改正、憲法改正国民投票法改正案などへの関与が挙げられています。
これらは森氏単独で成立させた制度という意味ではなく、それぞれ外交部会長、副大臣、委員長、法務大臣、憲法審査会長といった立場で党内調整や法案審議・提出に関与したものです。
法務大臣として国籍法改正に対応
麻生内閣が発足した2008年9月、森氏は法務大臣に就任しました。同年には、最高裁判決を受けた国籍法改正が大きな課題となりました。
参議院法務委員会で森氏は、子供の立場から制度を考える必要性を次のように説明しています。
「子供は生まれてくる親を選べない、国を選べない」
出典:国会会議録・第170回国会参議院法務委員会
改正では、日本人の父から認知された子について、父母の婚姻を国籍取得の要件としていた規定が見直されました。
入管法改正と新しい在留管理制度
2009年には法務大臣として、新たな在留管理制度を含む出入国管理及び難民認定法などの改正案を提出しました。外国人住民の在留情報を国が一元的に管理する現在の制度につながる大規模な改正です。
法務大臣時代の飯塚事件と死刑執行
森氏の法務大臣時代をめぐって現在まで議論が続いているのが、飯塚事件の久間三千年元死刑囚に対する死刑執行です。
久間元死刑囚は1992年に福岡県飯塚市で女児2人が殺害された事件で死刑が確定し、森氏が法務大臣だった2008年10月24日に執行命令が出され、10月28日に死刑が執行されました。
日本弁護士連合会や弁護団側は、DNA鑑定や目撃証言などをめぐって再審を求めてきました。死刑執行後も再審をめぐる司法手続きが続いていることから、森氏の法相時代とともに取り上げられることがあります。
2026年2月には福岡高裁が第2次再審請求を認めない決定を出しました。その後も弁護側は争う姿勢を示しており、事件そのものの司法手続きと、当時の法務大臣による執行命令は分けて見る必要があります。
森英介氏の派閥は麻生派|議長就任で一時離脱
森氏は自民党内で長く麻生派(志公会)に所属し、派閥の事務総長を務めてきました。麻生太郎氏が率いる派閥の運営を担ってきた議員の一人です。
状況が変わったのは2026年2月です。衆議院議長への就任に伴い、森氏は麻生派を一時離脱しました。
以前:麻生派(志公会)事務総長
2026年2月:衆議院議長就任に伴い派閥を一時離脱
衆議院での会派表示:「無」
テレビ朝日は2026年2月19日、麻生派の総選挙後初会合を報じる中で、森氏について「議長就任に伴って派閥を一時、離脱」と伝えています。
森英介氏の政策|憲法改正とエネルギー・原子力
2026年衆院選の候補者アンケートで、森氏が重点政策として選んだのは「憲法改正」と「エネルギー・環境」でした。
憲法は「時代に合わせて改正すべき点は改正」
森氏は、現行憲法の制定後に国際情勢や社会が大きく変化したとして、必要な部分について改正を進める立場を示しています。衆議院憲法審査会長を長く務めた経歴とも重なる政策分野です。
核分裂だけでなく核融合にも言及
エネルギー分野では、再生可能エネルギーだけでなく原子力の利用も必要だと主張しています。
「核分裂、核融合の原子力の十分な利用が不可欠である」
出典:選挙ドットコム・2026年衆院選候補者アンケート
森氏自身が原子力プラントの研究で工学博士号を取得し、衆議院原子力問題調査特別委員長も経験しているため、科学技術・原子力は若い頃から現在までつながるテーマになっています。
皇室典範改正で森英介議長が担った役割
2026年に衆議院議長へ就任した後、森氏が大きく関わったテーマの一つが皇族数の確保をめぐる皇室典範改正です。
森氏は衆議院議長として参議院の正副議長らと各党・各会派の意見調整を進めました。取りまとめでは、女性皇族が婚姻後も皇族の身分を保持する案と、旧宮家の男系男子を養子として皇族に迎える案が柱となりました。
「なんとか今国会中に皇室典範改正にこぎつけたい」
出典:TBS NEWS DIG・2026年6月8日
その後、政府は議長らの取りまとめに沿って法案を作成。皇室典範等改正法は2026年7月10日に衆議院、7月17日に参議院で可決され、7月24日に法律第66号として公布されました。
2026年9月29日時点では一部が施行済みで、e-Govでは10月24日に施行される規定が残っていることも示されています。
出典:衆議院・皇室典範等改正法の審査経過/e-Gov法令検索・皇室典範
「養子の子」の皇位継承をめぐる発言は批判も受けた
調整過程では、森氏が旧宮家の男系男子を養子に迎えた後、その男性に男子が生まれた場合の皇位継承資格について言及し、中道改革連合や公明党などから発言への異論が出ました。
森氏は、現行法の解釈について説明したものだったとして、6月10日の全体会議で陳謝しています。
「真意が伝わらず、ご迷惑をおかけしたことをおわびする」
出典:共同通信配信・千葉日報
森氏は議長就任後、皇室会議の議員にも就いています。これは森氏個人の家系上のつながりではなく、衆議院議長という職に基づく制度上の立場です。
出典:宮内庁・皇室会議議員名簿
旧統一教会との関係は?公表資料から分かる範囲
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と森氏の関係については、事実として公表されている範囲を切り分ける必要があります。
2022年に朝日新聞が実施した国会議員アンケートについて、森氏は回答しなかった議員の一人だったとする報道があります。
同年、自民党は所属国会議員379人を対象に旧統一教会・関連団体との接点を点検し、179人が何らかの接点を報告したと公表しました。ただし、党の公開ページ本文だけでは、森氏個人について具体的にどのような接点があったのかを特定することはできません。
- 2022年の報道機関アンケートには無回答だったと報じられている
- 自民党は所属国会議員全体を対象に接点を点検した
- 今回確認した公表資料では、森氏について特定の会合参加・選挙支援などの具体的事実を裏付けられない
アンケートに回答しなかったことと、教団との具体的な関係があったことは同じではありません。 公表された個別の根拠がない内容まで断定することはできません。
参考:自民党・旧統一教会及び関連団体との関係に関する点検結果
森英介氏の人物像|料理・音楽・柴犬が趣味
政策や役職とは別に、森氏は趣味として料理、音楽、犬を挙げています。自民党の2021年プロフィールでは、音楽の中でも特に「カントリーミュージック」、犬では「柴犬」が好きだと紹介していました。
2026年の選挙公報でも「趣味は料理、音楽、柴犬」としており、長く公表しているプロフィールの一部です。
技術者として原子力研究に携わった経歴と、労働・社会保障・法務・憲法という複数の政策分野を歩いてきた経歴が、森氏の政治キャリアの大きな特徴です。
自宅と事務所は別に考える必要がある
森氏の私的な自宅住所については扱いませんが、政治活動のための公開事務所は自民党千葉県連が掲載しています。国会事務所は衆議院第一議員会館、地元事務所は千葉県茂原市です。
事務所の最新住所・連絡先は自民党千葉県第十一選挙区支部で確認できます。
本人公式Xは確認できる?
記事作成時点の自民党公式プロフィールと2026年衆院選の候補者ページでは、森氏の外部リンクとして公式サイトは案内されていますが、本人の公式Xアカウントへのリンクは掲載されていません。
本人運営と確認できるXアカウント・個別投稿を確定できないため、本記事では第三者の投稿を「森英介氏の公式X」として埋め込んでいません。
2026年現在は議長として国会運営を担う
森氏は2026年2月の衆院選で13回目の当選を果たした後、衆議院議長へ就任しました。2026年9月18日現在の衆議院役員一覧でも議長として掲載されており、引退ではなく、国会運営を担う立場に移っています。
議長就任後には皇室典範改正をめぐる各党協議を進め、7月には改正法が成立しました。森氏の現在を追ううえでは、これまでの法務・労働・憲法政策だけでなく、衆議院議長としてどのように各党間の調整と議会運営を行うかが中心になっています。
最新の役職は衆議院の役員等一覧、当選回数や経歴は衆議院・森英介議員プロフィールで確認できます。

