伊藤孝恵(いとう・たかえ)氏は、愛知県選挙区選出の国民民主党所属参議院議員です。テレビ大阪の記者・ドキュメンタリー制作者、資生堂、リクルートという民間企業での仕事を経て、2016年に初当選しました。
政治家になるきっかけには、自身の不妊治療や2人の娘の子育てが深く関わっています。現在は子育て政策だけでなく、孤独・孤立、ヤングケアラー、内密出産、生殖補助医療など、既存制度の「隙間」に置かれやすい人を対象とした議員立法にも取り組んできました。
- 愛知県選挙区の参議院議員で、現在2期目
- 所属政党は国民民主党
- 金城学院大学卒業後、テレビ大阪・資生堂・リクルートで勤務
- 夫と2人の娘がいる
- 孤独・孤立、ヤングケアラー、子育て、生殖補助医療などの制度づくりに関与
- 2026年には内密出産をめぐる法案や、いわゆる「エロ広告規制法案」の発議者となった
| 名前 | 伊藤 孝恵(いとう たかえ) |
|---|---|
| 生年月日 | 1975年6月30日 |
| 年齢 | 51歳(2026年9月時点) |
| 出身 | 愛知県名古屋市 |
| 所属政党 | 国民民主党 |
| 議員 | 参議院議員 |
| 選挙区 | 愛知県選挙区 |
| 当選回数 | 2回 |
| 初当選 | 2016年 |
| 現在の委員会 | 文教科学委員会理事、予算委員会委員 |
| 前職 | テレビ大阪、資生堂、リクルートなど |
| 公式サイト | 伊藤たかえ公式サイト |
| 公式X | @itotakae0630 |
参議院の公式プロフィールは、2026年9月13日現在の所属委員会を上記のように掲載しています。任期は2028年7月25日までです。参議院の議員プロフィールでも経歴を確認できます。
伊藤孝恵の夫はどんな人?職業・2人の娘と家族
伊藤孝恵氏は夫と2人の娘がいる4人家族です。政治家になった後も家族について比較的率直に語っており、仕事と育児をどう両立してきたかも本人の経歴を理解する重要な部分になっています。
夫は「祐介さん」|職業は放送局勤務
夫について、本人は過去のインタビューで「放送局に勤める同い年の夫」と説明しています。2022年の参院選を取材したFNNも夫を「祐介さん」と紹介しました。
公開情報には北陸朝日放送勤務とする記述も見られ、2026年のビジネスイベントには同局のエリア・イノベーション推進部長として「伊藤祐介」氏が登壇しています。ただし、その登壇者プロフィール自体には「伊藤孝恵氏の夫」との記載がありません。このため、本人の発言から確実に言える夫の職業は放送局勤務までとするのが適切です。
本人公式プロフィールには、夫について「自分より10センチ身長が低い」というエピソードも掲載されています。
インターネット上には伊藤氏の身長について複数の数値がありますが、参議院や本人公式プロフィールには身長の数値が掲載されていません。公式に確認できるのは夫との「10センチ差」という本人の記述であり、正確な身長を断定できる一次情報は見当たりません。
2人の娘と不妊治療の経験が政治を志す契機に
伊藤氏は結婚後、不妊治療を経て2人の娘を出産しました。次女に一側性難聴があることが分かり、制度や社会の仕組みに対して「当事者として声を上げる側」へ回ったことを、政治を志した背景として語っています。
「だったらそれを変えてやる!と立ち上がる、母としての人生を生きたい」
出典:本人インタビュー「政治家になった理由」
初当選した2016年当時、娘は3歳と1歳でした。参議院の公式プロフィールでは、育児休業中に国政選挙へ挑戦した初のケースとして紹介されています。
夫の単身赴任中は実家の支援も受けながら議員活動
初当選時は夫が石川県へ単身赴任しており、伊藤氏は愛知県犬山市の両親の近くで娘たちを保育園に通わせながら、愛知と東京を往復していました。2017年には娘2人と東京へ移り、議員事務所内に子どもの居場所も設けています。
2022年の参院選でも、選挙活動と母親としての時間を分ける姿勢を明確にしていました。
「選挙活動を8時で終えて、8時からママに戻ったっていいじゃないですか。」
出典:FNNプライムオンライン・2022年参院選取材
若い頃と学歴|金城学院からテレビ大阪・資生堂・リクルートへ
伊藤孝恵氏は、政治家になるまで約18年間を民間企業などで過ごしました。大学卒業後すぐに政治の世界へ入ったタイプではありません。
| 時期 | 学校・勤務先 |
|---|---|
| 小学校 | 犬山市立犬山北小学校 |
| 中学校 | 金城学院中学校 |
| 高校 | 金城学院高等学校 |
| 1998年 | 金城学院大学 文学部国文学科卒業 |
| 1998年 | テレビ大阪入社 |
| 2006年1月 | 資生堂入社 |
| 2006年7月 | リクルート入社 |
| 2013年 | 金城学院大学非常勤講師 |
| 2016年 | 参議院議員初当選 |
学歴と職歴は本人公式プロフィールにも詳しく掲載されています。中学・高校時代には6年間バトントワリングに取り組み、全国大会を目指していた時期もありました。
テレビ大阪ではアナウンサーではなく記者・ドキュメンタリー制作者
テレビ大阪では当初、本人が希望していた報道ではなく営業へ配属されました。その後、報道部門へ移り、大阪府警記者クラブで事件・事故の取材などを担当しています。
伊藤氏はテレビ大阪のアナウンサーだったわけではありません。記者・ディレクター・ドキュメンタリー制作者としての経歴です。
自身が制作したドキュメンタリー「ぼくたちの敗者復活戦~ニート300日の記録~」は、TXNドキュメンタリー大賞を受賞しました。社会の中で声を上げにくい人を取材した経験は、後の政治活動とも重なるテーマになっています。
資生堂を経てリクルートへ|SUUMOやゼクシィにも関わる
2006年に資生堂へ転職した後、同年7月からリクルートで勤務しました。本人プロフィールによると、住宅情報分野の仕事やマーケティング、メディアバイイングなどを経験し、「SUUMO」や「ゼクシィ」に関わる業務も担当しています。
2013年からは母校の金城学院大学で日本語・日本文化分野の非常勤講師も務めました。こうした民間企業での仕事を続けた後、リクルートの育児休業中だった2016年に国政選挙へ転じています。
現在は国民民主党の参議院議員|公明党の「伊藤孝江」とは別人
伊藤孝恵氏は現在、国民民主党所属の参議院議員です。参議院では国民民主党・新緑風会に所属し、2026年9月13日時点で文教科学委員会理事、予算委員会委員を務めています。
古いプロフィールには伊藤氏を「参議院国会対策委員長」「コミュニケーション統括本部長」とする記載が残っています。しかし、国民民主党は2026年9月11日に新しい党役員体制を発表しました。
最新の国民民主党役員一覧では、参議院国対委員長は「参議院議員会長に一任」、コミュニケーション統括本部長は礒崎哲史氏となっています。以前の党役職を現在の肩書として扱うのは古い情報です。
「伊藤孝恵 公明党」と出てくる理由
名前が非常によく似た参議院議員に、兵庫県選挙区の伊藤孝江(いとう・たかえ)氏がいます。
| 人物 | 政党 | 選挙区 |
|---|---|---|
| 伊藤孝恵 | 国民民主党 | 愛知県 |
| 伊藤孝江 | 公明党 | 兵庫県 |
国民民主党の「伊藤孝恵」と、公明党の「伊藤孝江」は別人です。読み方が同じで、どちらも参議院議員であることから混同されやすくなっています。
愛知県内の情報については、本人の公式Xでも災害や交通状況を含めて発信しています。
愛知県選挙区で2期|2016年初当選、2022年再選
国政選挙への初挑戦は2016年の参議院議員選挙です。当時は現在の国民民主党ではなく、民進党の候補として愛知県選挙区から出馬しました。
| 選挙 | 所属 | 得票数 | 結果 |
|---|---|---|---|
| 2016年参院選 | 民進党 | 519,510票 | 初当選 |
| 2022年参院選 | 国民民主党 | 391,757.596票 | 再選 |
2016年の得票数は春日井市が掲載する参議院選挙結果、2022年は西尾市の開票結果など自治体資料で確認できます。
2022年の当選による現在の任期は2028年7月25日までです。したがって、2025年の参議院選挙は伊藤氏本人の改選年ではありませんでした。
- 選挙区:愛知県選挙区
- 当選回数:2回
- 初当選:2016年
- 直近の当選:2022年
- 現在の任期満了:2028年7月25日
伊藤孝恵がやったこと|孤独・孤立、ヤングケアラーを議員立法へ
伊藤氏の政治活動では、政府へ要望するだけではなく、野党側から具体的な法案を提出し、与党との実務協議につなげる活動が目立ちます。
孤独・孤立対策法案を2021年に提出
コロナ禍で社会的孤立が深刻化した2021年、国民民主党は「孤独・孤立対策推進法案」を参議院へ提出しました。伊藤氏も提出に関わった議員の一人です。
その後、2023年には政府提出の孤独・孤立対策推進法が成立しました。国民民主党が2021年に提出した法案そのものが成立したわけではありませんが、超党派で制度化が進んだテーマです。
「政策は、誰か1人が進めるものではありません。」
出典:政治ドットコム・伊藤孝恵氏インタビュー
ヤングケアラーを法制度の対象へ
家族の介護や世話を日常的に担う子ども、いわゆるヤングケアラーも伊藤氏が継続的に取り組んできたテーマです。
国民民主党は2022年2月に「ヤングケアラー支援法案」を提出し、伊藤氏も提出者となりました。その後は自民党、公明党、国民民主党の実務者協議などを通じ、定義の明確化、継続的な実態調査、自治体をまたいだ支援などを求めています。
2024年6月には子ども・若者育成支援推進法が改正され、ヤングケアラーが国・自治体による支援の対象として法律上明確化されました。18歳以上の若者も切れ目なく支援する枠組みとなっています。
制度の現状はこども家庭庁のヤングケアラー支援ページで確認できます。
2026年も子ども・子育て関連の議員立法を提出
2026年3月には国民民主党から、障害児福祉の所得制限撤廃、年少扶養控除の復活、障害のある若者が成人後に支援から外れやすい「18歳の壁」への対応をそれぞれ盛り込んだ法案が提出され、伊藤氏も提出に参加しました。
国会対策を担っていた時期には、他の野党と共同して法案審議を求める活動にも参加しています。2025年6月には、ガソリン暫定税率廃止法案の取り扱いをめぐって参議院正副議長へ申し入れた様子を公式Xで発信しました。
政策で力を入れるテーマ|内密出産・生殖補助医療・子育て
子ども政策の中でも伊藤氏が近年強く取り上げているのが、誰にも妊娠を知られたくない女性と、生まれてくる子どもの双方をどう守るかという問題です。
内密出産の法整備を高市首相に質問
2026年4月の参議院予算委員会では、熊本市の慈恵病院などが取り組んできた「内密出産」について高市早苗首相に質問しました。
「母子の安全を最優先にしつつ、女性が孤立しない仕組みを構築すべきだ」
出典:国民民主党・参議院予算委員会質疑
翌5月には、国民民主党が「内密出産に対応するための体制の整備等の促進に関する法律案」を国会へ提出し、伊藤氏は法案提出者の一人となりました。
7月には熊本での内密出産に関する講演準備について、過去の国会質疑を振り返りながら発信しています。
不妊治療の当事者として生殖補助医療にも関与
自身が不妊治療を経験した伊藤氏は、生殖補助医療の法制度も継続的な政策テーマにしています。本人公式サイトでは、超党派「生殖補助医療の在り方を考える議員連盟」の事務局長として活動してきたことを紹介しています。
特に、第三者から提供された精子や卵子によって生まれた子どもの「出自を知る権利」をどう保障するのかは、本人がインタビューでも繰り返し取り上げてきた論点です。
民間と政治を行き来する「リボルビングドア」も提唱
伊藤氏は人材政策では、政治・行政と民間企業を行き来しながら専門性を生かす「リボルビングドア」の普及にも取り組んでいます。本人公式プロフィールでは、超党派の「議会におけるリボルビングドア推進議員連盟」で事務局長を務めてきたとしています。
テレビ局、化粧品会社、人材・広告関連企業、大学、国会と複数の職場を経験してきた自身のキャリアとも接点のあるテーマです。
2026年の国会質疑|辺野古沖の転覆事故をどう追及したか
2026年には「辺野古」をめぐる伊藤氏の国会質疑も注目されました。ただし、ここで中心になったのは基地移設政策そのものへの賛否ではなく、修学旅行中の高校生が参加した海上活動の安全管理です。
2026年3月、沖縄県名護市辺野古沖で高校生らが乗った船を含む2隻が転覆し、同志社国際高校の女子生徒らが死亡しました。伊藤氏は5月と6月の国会質疑で、学校側の説明、安全管理、旅行プログラムの選定などを取り上げました。
「これは事故ではなく事件だというふうに思います」
出典:日刊スポーツ・参議院予算委員会質疑
これは伊藤氏自身による事故への評価です。国会では、学校行事として実施する以上、生徒や保護者が活動内容とリスクを事前に理解できる状態だったのか、国が学校安全をどう支えるのかを政府へ質問しました。
- 修学旅行プログラムの事前説明
- 海上活動の安全管理
- 学校・旅行事業者などの責任分担
- 同種事故を防ぐための国の対応
「エロ広告規制法案」はなぜ批判された?表現の自由をめぐる論点
2026年に伊藤孝恵氏をめぐって大きな議論になったのが、国民民主党が「エロ広告規制法案」と呼んで提出した議員立法です。
正式名称は「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律の一部を改正する法律案」で、2026年7月15日に参議院へ提出されました。参議院の議案情報では、伊藤氏が発議者として記載されています。
法案の狙いは、一定規模以上のインターネット事業者に対し、青少年が「青少年有害情報」を含む広告に接する機会を減らすための措置や、通報受付、取り組み状況の公表などを求めることでした。
議論になったのは、通称の「エロ広告」という言葉よりも、実際の条文ではより広い「青少年有害情報」を対象としていたことです。対象の線引きが曖昧になれば、プラットフォーム側が必要以上にコンテンツを遮断し、表現活動へ影響するのではないかという懸念が出ました。
法案提出後には本人の説明の正確性にも批判があり、7月22日に公式Xで追加説明と訂正を行っています。
この法案は成立していません。第221回国会に参議院議員提出法案として提出されましたが、成立には至らず廃案となりました。
同党の足立康史氏は2026年8月、自身の政策メモで党内勉強会後の認識として「同じ法案を改めて提出することはない」との理解を示しています。ただし、足立氏自身が明記している通り、これは個人的な整理であり党の正式見解ではありません。
法案の正式な提出経過は国会の議案情報で確認できます。
人物像と公式SNS|絵本・YouTube・Xでも発信
伊藤氏は国会質疑や議員立法だけでなく、自身の経験を一般向けに伝える活動も続けています。
著書には、総理大臣を目指す女の子を主人公にした絵本『はんなちゃんそうり~総理大臣になりたい女の子とおばあちゃんおばけの話~』があります。政治を子どもにも身近なものとして伝える試みです。
YouTubeでは国会活動だけでなく、子育てをしながら議員活動を続ける日常や政策解説なども発信してきました。公式Xでは地元愛知での活動、国会質疑、政策イベントなどを随時紹介しています。
2026年9月にも、政治を学ぶ場への参加など全国各地での活動を告知しています。
2026年9月時点では参議院議員として2期目の任期中です。党役員体制は9月に更新されましたが、国会では文教科学委員会理事、予算委員会委員として活動を続けています。最新の役職や国会での所属は、参議院公式プロフィールと国民民主党の役員一覧で更新されています。

