松本尚(まつもと・ひさし)氏は、救急医療の現場で長く活動し、ドクターヘリの普及やドラマ「コード・ブルー」の医療監修にも携わった医師出身の衆議院議員です。
2025年10月に高市内閣でデジタル大臣へ就任したことで、「なぜ医師がデジタル大臣に?」と注目されました。現在は状況が変わっており、2026年9月17日にデジタル大臣を退任し、内閣総理大臣補佐官へ就任しています。
- 救急医学・外傷外科・災害医療を専門としてきた医師
- ドクターヘリ事業の立ち上げと普及に関与
- ドラマ「コード・ブルー」の医療監修を担当
- 2021年に千葉13区から衆議院議員へ初当選
- 防衛大臣政務官、外務大臣政務官を歴任
- 2025年10月から2026年9月までデジタル大臣
- 現在は首相補佐官(物価高対策・責任ある積極財政・デジタル政策担当)
| 名前 | 松本 尚(まつもと ひさし) |
|---|---|
| 生年月日 | 1962年6月3日 |
| 年齢 | 64歳(2026年9月時点) |
| 出身地 | 石川県金沢市 |
| 所属政党 | 自由民主党 |
| 議員 | 衆議院議員 |
| 選挙区 | 千葉県第13区 |
| 当選回数 | 3回 |
| 現在の役職 | 内閣総理大臣補佐官(物価高対策・責任ある積極財政・デジタル政策担当) |
| 前職 | 医師、日本医科大学教授、日本医科大学千葉北総病院救命救急センター長など |
| 学歴 | 金沢大学医学部医学科卒、Anglia Ruskin University(英国)MBA修了 |
| 公式サイト | 松本ひさし公式サイト |
| 公式X | @hmatsu63 |
松本尚はなぜデジタル大臣になった?医師出身で起用された背景
松本尚氏がデジタル大臣に就任したのは2025年10月21日です。高市内閣で、デジタル大臣のほか、デジタル行財政改革、行政改革、国家公務員制度、サイバー安全保障などを担当しました。
医師だからデジタル分野と無関係だった、というわけではありません。救急・災害医療で情報システムを扱った経験があり、新型コロナ対応では医療情報や人的資源の把握・配分がアナログだったことを問題視していました。2025年には外務大臣政務官としてフランスのAIアクションサミットにも出席しています。
就任会見では、高市早苗首相から求められた役割について次のように述べています。
「社会全体のデジタル化を強力に進めるように」
出典:デジタル庁・松本大臣就任記者会見
さらに「なぜ自分が任命されたと思うか」と問われた際、総裁選前に高市氏と二人で話す機会があり、国土、日本人の心、健康と生命を守りたいという自身の考えを伝えたと説明しています。高市氏との認識が共有できたことに加え、医療DXやサイバー安全保障で医師・組織運営の経験を生かすことを期待されたと本人は受け止めていました。
- 救急・災害医療で医療情報システムを実際に使用
- 新型コロナ対応を通じ、医療のデジタル化を政治課題として意識
- 外務大臣政務官としてAIに関する国際会議に参加
- 病院・救命救急センターで組織運営を経験
- 医療DXとサイバー安全保障を担当分野へ接続
大臣在任中には地方のデジタル活用事例も視察しています。2026年1月には富山県朝日町を訪れ、マイナンバーカードを活用した地域サービスや公共交通の取り組みを紹介しました。
医師としての経歴|ドクターヘリと「コード・ブルー」
松本尚氏の政治家になる前のキャリアは、一般的な国会議員とはかなり異なります。約30年以上にわたり医療現場に立ってきた救急医で、とくにドクターヘリ、外傷医療、災害医療を専門としてきました。
金沢大学医学部を卒業し外科医へ
1987年に金沢大学医学部医学科を卒業し、同年に医師国家試験へ合格。金沢大学医学部第2外科学教室に入り、大学病院や黒部市民病院、富山県立中央病院、国立金沢病院などで外科医として勤務しました。
1995年から日本医科大学付属病院高度救命救急センター、1998年には金沢大学医学部附属病院救急部・集中治療部、2000年から再び日本医科大学救急医学教室で勤務します。2014年には日本医科大学教授となりました。経歴は本人公式プロフィールにも掲載されています。
| 年 | 医師時代の主な経歴 |
|---|---|
| 1987年 | 金沢大学医学部医学科卒業、外科医として勤務開始 |
| 1995年 | 日本医科大学付属病院高度救命救急センター |
| 2001年 | ドクターヘリ事業の立ち上げに関与 |
| 2006年 | JICA緊急国際援助隊医療チームに参加(〜2017年) |
| 2008年 | ドラマ「コード・ブルー」の医療監修 |
| 2009年 | NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」出演 |
| 2011年 | DMATとして東日本大震災の福島県へ出動 |
| 2014年 | 日本医科大学教授 |
| 2017年 | 英国Anglia Ruskin University MBA修了 |
ドクターヘリ事業の立ち上げと普及に関与
松本氏を医師として広く知られる存在にしたのがドクターヘリです。2001年の事業開始時からフライトドクターとして関わり、救命医療を現場へ運ぶ仕組みの普及に携わりました。
本人は、ドクターヘリによる救急診療、重症外傷患者の救命率向上、災害時医療体制の構築を、医師時代の「三つのライフワーク」と位置付けています。
「コード・ブルー」の医療監修を担当
2008年からフジテレビ系ドラマ「コード・ブルー―ドクターヘリ緊急救命―」の医療監修を担当しました。ドラマに登場する救急医療やフライトドクターの描写を、現場を知る医師の立場から支えています。
「コード・ブルー」の出演者だったわけではなく、実際の救急医療を作品へ落とし込む医療監修者として関わった人物です。
松本尚が政治家を目指した理由は新型コロナ対応
医師として長いキャリアを積んだ松本氏が国政へ向かった大きな契機が、新型コロナウイルス感染症への対応でした。
千葉県災害医療コーディネーターや千葉県医師会理事として対応に関わる中で、医療だけでは解決できない危機管理体制や情報共有、行政制度の問題を感じたと説明しています。
本人公式サイトでは、政治に必要なものとして次のようにも書いています。
「今の政治に欠けているのはこの『説明力』なのです。」
出典:松本ひさし公式サイト「政治を志した私の想い」
医療現場で一般化している「説明と同意」を例に挙げ、政策でも国民への説明が必要だという考えを示しています。
政治家としての経歴|防衛・外務政務官からデジタル大臣へ
松本氏は2021年、自民党の公募を経て千葉13区から第49回衆議院議員総選挙へ出馬し、初当選しました。
| 年 | 国政での主な動き |
|---|---|
| 2021年 | 千葉13区から衆議院議員に初当選 |
| 2023年 | 防衛大臣政務官に就任 |
| 2024年 | 第50回衆院選で再選 |
| 2024年 | 外務大臣政務官に就任 |
| 2025年 | デジタル大臣などに就任 |
| 2026年2月 | 第51回衆院選で3選 |
| 2026年9月 | デジタル相を退任、内閣総理大臣補佐官に就任 |
防衛大臣政務官では自衛官の医療にも関与
医師としての専門性は防衛分野でも使われました。防衛大臣政務官時代には、自衛官の医療環境や処遇に関する課題にも取り組んでいます。
2026年7月には、超党派の「自衛隊員・退職自衛隊員・家族を支援する議員連盟」の設立総会へ出席したことを公式Xで紹介しました。
松本尚の政策|医療DX・AI・積極財政・安全保障
松本氏の政策は、医師時代から続く医療・危機管理と、国政入り後に担当した安全保障、デジタル政策、経済政策が組み合わさっています。
- 医療・食料・エネルギーの安全保障
- 自然災害や感染症に対応できる危機管理体制
- 責任ある積極財政と科学技術への投資
- 食料品の消費税率を恒久的に0%とすること
- 行政・公共サービスのデジタル化
- 国産クラウド・国産AIの開発
- 防衛・外交力の強化、憲法改正
なお、食料品の消費税を「恒久的に0%」とするのは松本氏自身が公式サイトで掲げる政策です。政府・与党全体の決定事項とは分けて見る必要があります。
医療DXでは電子カルテやオンライン診療を重視
デジタル大臣として特に自身の専門分野と重なったのが医療DXでした。電子カルテの普及、医療情報の連携、オンライン診療、マイナンバーカードの医療分野での利用などを推進しています。
2026年6月には電子カルテ普及の加速策を示し、200床以上の急性期病院について、普及を前倒しして進める考えを説明しました。
AIを人手不足対策と行政改革へ使う
2026年7月に変更された「デジタル社会の実現に向けた重点計画」では、AIエージェント、政府のAX・DX、医療DX、自動運転、教育DX、サイバーセキュリティなどを柱としました。
「人手不足とAIやAIエージェントの進展とがうまく噛み合わさる」
出典:デジタル庁・2026年7月21日大臣記者会見
AI、クラウド、サイバーセキュリティは国際協力のテーマとしても扱っていました。2026年6月の米日経済協議会との意見交換について、公式Xで活動を報告しています。
松本尚の選挙区は千葉13区|2026年衆院選で3選
松本氏の選挙区は千葉県第13区です。2021年の第49回衆院選で初当選し、2024年に再選、2026年2月8日の第51回衆院選でも当選しました。
千葉県選挙管理委員会の2026年衆院選結果でも、千葉13区の当選者として「松本ひさし」と掲載されています。衆議院の議員情報では当選3回です。
- 2021年:第49回衆議院議員総選挙で初当選
- 2024年:第50回衆議院議員総選挙で再選
- 2026年:第51回衆議院議員総選挙で3選
地元活動も公式Xで発信しています。2026年8月に千葉県内が豪雨に見舞われた際には、千葉13区へ入り、自治体首長との連絡や現地の状況について投稿しました。
高市早苗との関係は?派閥は旧安倍派
松本氏と高市早苗首相の関係が注目されたのは、2025年のデジタル大臣起用が大きな理由です。
松本氏自身によれば、総裁選前に高市氏と一対一で話す機会があり、自身が重視する「国土」「日本人の心」「健康と生命」を守るという考えを伝えたところ、高市氏も同じ考えを持っていると応じたとしています。本人は、この認識の共有が大臣起用につながったと理解していると就任会見で説明しました。
2026年9月の内閣改造後も政権を離れたわけではなく、高市内閣の内閣総理大臣補佐官として、物価高対策・責任ある積極財政・デジタル政策を担当しています。
派閥は「旧安倍派」と報じられてきた
自民党内の派閥については、主要メディアの閣僚紹介などで旧安倍派(清和政策研究会)と整理されています。
安倍派はすでに解散しているため、現在の所属を「安倍派」と表現するより、「旧安倍派」とするのが現在の状況に合っています。
旧統一教会との関係は?2026年の国会で本人が答弁
松本氏と旧統一教会(世界平和統一家庭連合)との関係については、2026年3月5日の衆議院予算委員会で直接質問が出ています。
質問に対し、松本氏は自身と旧統一教会との接点について次のように答弁しました。
「私自身は支援それから献金を受けたことはございません。」
出典:衆議院・第221回国会 予算委員会 第6号
同じ答弁の中で、行事・会合への出席や祝電の送付もなかったと述べています。
一方、2022年に共同通信が国会議員へ実施したアンケートでは、選挙活動について「応援します」との申し出を受けたことがあるものの、自ら依頼したものではないと回答していました。献金・パーティー券購入、集会への出席や祝電については「ない」と回答しています。共同通信の国会議員アンケートで回答内容を確認できます。
「旧統一教会から支援・献金を受けていた」と本人が認めているわけではなく、2026年の国会ではその点を否定しています。この論点では、過去のアンケート回答と国会答弁を分けて見る必要があります。
妻・息子など家族について公表している?
松本尚氏の妻の氏名、年齢、職業など詳しい情報は、本人公式プロフィールや衆議院の議員プロフィールでは公表されていません。
そのため、ネット上の情報だけをもとに妻の経歴などを断定することはできません。
子供については、本人の公式Xに「息子」への言及があります。2026年8月には、息子から勧められた本を読んだことを投稿しています。
- 妻の氏名・職業などは公式プロフィールでは公表されていない
- 本人の公式Xでは「息子」への言及がある
- 息子の氏名・年齢・職業などの詳細は公表されていない
2026年9月にデジタル大臣を退任|現在は首相補佐官
松本氏について現在最も注意したいのが役職です。デジタル庁の過去のプロフィールやニュース記事には「デジタル大臣」と書かれたものが残っていますが、2026年9月26日時点の現職はデジタル大臣ではありません。
2026年9月17日の内閣改造に伴いデジタル相を退任。現在は第2次高市改造内閣の内閣総理大臣補佐官で、担当は「物価高対策・責任ある積極財政・デジタル政策」です。
衆議院議員としては引き続き千葉13区選出・自民党・当選3回。衆議院の議員プロフィールも2026年9月17日現在の役職を「内閣総理大臣補佐官」としています。
デジタル相時代には政府生成AI「源内」、医療DX、行政のAX・DX、マイナンバー、サイバーセキュリティなどを担当しました。これらのうちデジタル政策は、首相補佐官となった現在も担当分野に含まれています。
松本氏の公式Xでは、デジタル政策だけでなく、選挙区での活動、防衛・医療、日々の政治活動も発信されています。

