大串博志(おおぐし・ひろし)氏は、財務・金融分野の官僚経験を持ち、佐賀を地盤に国政で活動してきた政治家です。2026年には20年以上続いた衆議院議員としての歩みに大きな転機が訪れました。
この記事では、2026年9月時点の現在地から、佐賀2区での選挙歴、父・妻・息子・娘などの家族、学歴と財務省時代、政策や実際に関わった仕事まで整理します。あわせて、政治資金パーティー、旧統一教会、パチンコとの関係、台湾有事をめぐる国会質問など、名前とともに語られる論点も事実関係を分けて見ていきます。
| 名前 | 大串 博志(おおぐし ひろし) |
|---|---|
| 生年月日 | 1965年8月31日 |
| 年齢 | 61歳(2026年9月9日時点) |
| 出身 | 佐賀県杵島郡白石町生まれ、佐賀市嘉瀬町育ち |
| 学歴 | 佐賀県立佐賀西高校 → 東京大学法学部 |
| 前職 | 大蔵省・財務省官僚 |
| 衆議院 | 当選7回・前衆議院議員 |
| 主な地盤 | 佐賀県第2区 |
| 現在の所属 | 無所属 |
| 公式サイト | 大串ひろし公式サイト |
| 公式X | @OogushiHiroshi |
財政・金融の実務経験と、佐賀2区で積み重ねた国政経験を併せ持つ野党系政治家です。政治改革、有明海再生、税・社会保障、安全保障などを国会で扱い、2026年の落選後は政党に属さず政治活動を続けています。
大串博志は現在どうしている?2026年9月は無所属
大串博志氏は2026年1月、立憲民主党を離れて新党「中道改革連合」に参加しました。その直後の2月8日衆院選で議席を失い、同年8月31日には中道改革連合からの離党を表明しています。
2026年9月9日時点では、衆議院議員ではなく、政党にも所属していない「前衆議院議員・無所属」です。
8月31日の会見では、今後の活動について支援者や後援会と相談するとしながら、地元との関係について次のように述べました。
「2区で育ててもらったので2区で恩返しするのが基本」
出典:FNNプライムオンライン・サガテレビ
離党後の9月9日には、中道改革連合そのものも立憲民主党出身議員による新党結成、公明党出身議員の復党、残務整理後の解散という方向を正式に決めました。大串氏はその動きに先んじて党を離れ、特定政党の枠外から新たな連携を模索する立場を取っています。
なお、公式サイトには過去の「衆議院議員」「中道改革連合」などの表示が残る箇所もありますが、同サイトの2026年9月1日付の最新記事は「無所属の立場から活動していきます」と題されています。現在の所属を判断する際は、古いプロフィール表示との混同に注意が必要です。
議席を失った後も政策をめぐる活動は続けており、2026年5月には連合佐賀の青年委員会で税と社会保障をテーマに議論した様子を発信しています。
2026年衆院選で落選|比例復活もなく7期連続当選が途切れる
大串氏の直近の国政選挙は、2026年2月8日の衆議院議員総選挙です。中道改革連合から佐賀2区に立候補し、自民党の古川康氏と争いました。
- 古川康氏(自民党):106,320票・55.5%
- 大串博志氏(中道改革連合):85,185票・44.5%
- 大串氏は小選挙区で落選し、比例九州ブロックでも復活できませんでした。
前年ではなく、その前の2024年衆院選では大串氏が95,581票を得て佐賀2区を制していました。2026年は古川氏が票を伸ばし、結果が逆転しています。詳しい開票結果は2026年佐賀2区の選挙結果でも確認できます。
「それでも勝つことができなかったというのは、私自身の力不足だと思います」
出典:サガテレビ・2026年衆院選後の取材
2005年から2026年までの選挙歴
大串氏は2005年に初めて衆院選へ挑戦しました。小選挙区で敗れても比例代表で復活した選挙があり、2005年、2012年、2014年は比例九州ブロックで議席を得ています。
| 年 | 所属 | 得票 | 結果 |
|---|---|---|---|
| 2005年 | 民主党 | 51,299票 | 比例復活・初当選 |
| 2009年 | 民主党 | 86,098票 | 佐賀2区当選 |
| 2012年 | 民主党 | 63,208票 | 比例復活 |
| 2014年 | 民主党 | 82,383票 | 比例復活 |
| 2017年 | 希望の党 | 105,921票 | 佐賀2区当選 |
| 2021年 | 立憲民主党 | 106,608票 | 佐賀2区当選 |
| 2024年 | 立憲民主党 | 95,581票 | 佐賀2区当選・7期目 |
| 2026年 | 中道改革連合 | 85,185票 | 落選・比例復活なし |
2005年から2024年までは、比例復活を含めて7回連続で国会議員の座を確保していました。2026年が、初当選以降初めて衆議院の議席を失った選挙です。
落選後は地元へのあいさつ回りを始め、2月19日には有明海を訪れている様子を公式Xに投稿しました。
大串博志の父・妻・息子・娘など家族は?
妻は佳子さん|息子1人・娘1人の父
本人公式プロフィールによると、大串氏は1990年5月に妻・佳子さんと結婚しています。子供は息子1人、娘1人です。
息子と娘について、本人公式プロフィールでは氏名、年齢、勤務先などは掲載されていません。政治家の家族だからという理由で、公開されていない職業や私生活まで推測して結びつけることはできません。
妻の佳子さんは政治活動をまったく表に出していないわけではなく、2024年衆院選では、大串氏が党幹部として全国の候補者応援に回る中、地元で支援を呼びかけました。
- 妻:佳子さん
- 結婚:1990年5月
- 子供:息子1人、娘1人
- 子供の氏名・職業など:公式プロフィールでは非公表
父は「大串敏夫氏」「学校長」とする情報もあるが断定できない
父親については、ネット上で「大串敏夫氏」「学校関係者・校長だった」とする記述が見られます。実際、佐賀市立城東中学校の学校沿革には、同名の「大串敏夫」氏が第13代校長として記録されています。
しかし、その人物を「大串博志氏の父」と直接結びつけ、父子関係と職歴を同時に裏付ける本人プロフィールや公的資料は見当たりません。そのため、「父は学校長だった」と事実として断定するのは避けるべき情報です。
母については、公的記録により事情が異なります。唐津市議会が公開する2019年の交際費には、「衆議院議員大串博志氏の母 大串美恵子氏」との記載があります。
経歴・学歴|佐賀西高校から東大法学部、財務官僚を経て政治家へ
大串氏は佐賀県杵島郡白石町で生まれ、佐賀市嘉瀬町で育ちました。高校は佐賀県立佐賀西高校、大学は東京大学法学部です。
1989年に大学を卒業すると大蔵省へ入り、財政投融資、国際金融、税務、予算、金融監督などの仕事を経験しました。政治家になる前から財政・金融政策の現場を歩いてきたことが、大串氏の経歴の大きな特徴です。
| 時期 | 経歴 |
|---|---|
| 1984年 | 佐賀県立佐賀西高校卒業 |
| 1989年 | 東京大学法学部卒業、大蔵省入省 |
| 1995年 | 諏訪税務署長 |
| 1996年 | IMF日本理事室審議役 |
| 1999年 | 主計局主査 |
| 2001年 | 在インドネシア日本大使館一等書記官 |
| 2003年 | 金融庁・銀行監督調整官 |
| 2005年 | 財務省を退官、衆院選初当選 |
| 2009年 | 財務大臣政務官 |
| 2011年 | 内閣府大臣政務官 |
| 2012年 | 復興大臣政務官を兼務、のち内閣総理大臣補佐官 |
| 2016年 | 民進党政務調査会長 |
| 2022年 | 立憲民主党選挙対策委員長、衆議院懲罰委員長 |
| 2024年 | 立憲民主党代表代行(党務総括)・選挙対策委員長 |
IMFでの勤務経験は、その後も本人が振り返る経歴の一つです。2025年には、東京大学時代から国際金融の世界へ進んだ当時を思い起こす投稿をしています。
政党は民主党、民進党、希望の党、無所属の会、立憲民主党など、野党再編に伴って移っています。民主党時代の2006年には本人ブログで、党内の「特定のグループに所属してはいない」と記していました。少なくとも当時は、特定派閥に属さない立場を明言していました。
大串博志の政策と実績|政治改革・暮らし・有明海をどう扱ってきた?
大串氏の政策を見ると、財務官僚出身らしい税・財政分野に加え、政治改革、社会保障、佐賀の農林水産業や有明海再生が継続的なテーマになっています。
政治改革|企業・団体献金や政治資金をめぐる法案提出に関与
立憲民主党で政治改革推進本部長などを務めた大串氏は、自民党派閥の政治資金問題を受けた制度改革に深く関わりました。
2024年12月には、大串氏らが提出者となって企業・団体による政治献金や政治資金パーティー券購入を規制する政治資金規正法改正案を国会に提出しています。これは大串氏一人の法案ではなく、他の提出者や各党との国会審議を通じた取り組みです。
特別委員会で自ら法案の趣旨説明を行った際の様子も公式Xで発信しています。
その後の2025年国会でも企業・団体献金をめぐる審議に立ち、政治への不信を払拭するには制度面で結論を出す必要があると主張しました。
物価高対策と税・社会保障
2026年衆院選の候補者アンケートでは、物価高対策として食料品の消費税をゼロにすることや、エネルギーなど生活必需品の価格を引き下げる政策を掲げました。
社会保障では、社会保険料の負担を抑えながら、医療・介護・障害福祉・教育・子育て支援などの「ベーシックサービス」を強化する考えを示しています。これらは中道改革連合候補として戦った2026年衆院選時点の政策であり、無所属となった後の正式な新公約として発表されたものではありません。
有明海再生では法律改正の提案説明を担当
佐賀の政治家として長く取り組んできたテーマが有明海の再生と漁業支援です。
2021年3月には、超党派でまとめた「有明海及び八代海等を再生するための特別措置に関する法律」の改正案について、衆議院農林水産委員会で提出者を代表して趣旨説明を行いました。改正法は同月に成立しています。
2024年にも諫早湾干拓と有明海再生をめぐる質問主意書を提出するなど、この問題を継続して国会で取り上げました。
農業政策についても、現場の統計や行政体制を問題視する発信を続けています。
大串博志とパチンコの関係は?IR・カジノ問題との混同に注意
大串氏については「パチンコ」という言葉とともに語られることがありますが、ここは事実関係を分ける必要があります。
大串氏が国会で目立って扱ったのは、パチンコ政策そのものよりIR・カジノ問題です。2019年末、自民党の秋元司元副大臣をめぐる汚職事件が表面化した際、野党側は「カジノ問題追及本部」を設置し、大串氏が本部長を務めました。
当時、本人も公式Xで追及本部の設置と自身の本部長就任を発信しています。
2020年1月の衆議院予算委員会では、IRをめぐる政府への質問の中で自身の立場を明言しました。
「我々は、カジノは日本に要らないという立場です。」
出典:衆議院・予算委員会会議録
このIR論争では「カジノとパチンコをどう区別するのか」という議論も起き、それを切り取った動画や投稿がネット上で広がりました。
大串氏がパチンコ業界団体の役員だった、あるいは業界から特別な支援を受けていたと断定できる一次資料は、今回参照した国会資料・本人発信・主要報道にはありません。
実際に記録が残っている大きな接点は、IR・カジノ政策を追及する野党側の責任者を務めたことです。
政治資金パーティー問題|禁止法案との整合性が批判された
大串氏をめぐる「政治とカネ」の論点として大きく報じられたのが、2024年の政治資金パーティーです。
当時の立憲民主党は、政治資金パーティーを全面的に禁止する法案を国会へ提出していました。その一方で、選挙対策委員長だった大串氏が6月17日に東京都内で自身の政治資金パーティーを予定していたことが明らかになり、党の主張と幹部自身の行動が整合しているのかという批判が出ました。
「法案が通り、政治資金パーティーをやめることが実現できれば、やらない」
出典:日刊スポーツ・2024年5月23日
大串氏は、法案成立までは個人の政治資金パーティーを開催し得るという考えを示し、予定していた催しについても毎年開催している勉強会だと説明していました。
その後、党内外で批判が強まり、大串氏は5月25日、6月17日に予定していたパーティーを中止すると発表しました。「開催した」という話ではなく、最終的には開催前に取りやめています。
翌年以降、大串氏は企業・団体献金や企業・団体によるパーティー券購入規制をめぐる法案審議にも提出者として関わっており、この2024年の一件と政治改革の主張は併せて見られることの多い論点です。
旧統一教会との関係は?秘書の代理出席と祝電が党調査で公表
旧統一教会(世界平和統一家庭連合)との接点については、2022年8月に立憲民主党が党内調査の結果を公表しています。
党の発表では、2015年から2019年にかけて「日韓トンネル推進佐賀県民会議」の会合に、大串氏の秘書が3回代理出席し、祝電も送っていたとされています。
公表された内容は「大串氏本人が3回出席した」というものではありません。秘書の代理出席と祝電です。
当時の立憲民主党・西村智奈美幹事長の記者会見では、党側は関係した議員らについて、当時は旧統一教会との関係を認識していなかったとの説明をしています。また、その調査で大串氏に選挙の組織的支援や本人による会合でのあいさつがあったとは公表されていません。
- 対象:日韓トンネル推進佐賀県民会議の会合
- 期間:2015~2019年
- 秘書:3回代理出席
- 事務所:祝電を送付
- 党側の説明:当時は旧統一教会との関係を認識していなかった
台湾有事・高市早苗首相の「存立危機事態」答弁を追及
安全保障分野で大串氏の名前が大きく出た一例が、2025年11月の衆議院予算委員会です。
高市早苗首相が台湾有事を念頭に、艦船を使い武力行使を伴う場合には「存立危機事態になり得る」と具体的なケースを挙げて答弁したことに対し、大串氏は、首相が特定の国・地域や状況を国会で具体的に示すことの重さを問題にしました。
「これを撤回、取消しした方がいいんじゃないですか」
出典:国会会議録・衆議院予算委員会
大串氏が争点にしたのは、台湾や中国への評価そのものではなく、「存立危機事態」という自衛隊の防衛出動につながり得る認定について、首相が個別具体的なケースをあらかじめ示すことの是非でした。
高市首相は答弁を撤回せず、政府の従来の立場を変えるものではないと説明する一方、今後は特定のケースを国会で明言することは慎むとの考えを示しました。大串氏は続けて小泉進次郎防衛相にも見解をただしています。
今後は佐賀2区を軸に活動|次の選挙への正式な出馬表明はまだない
2026年2月の落選後、大串氏は有明海周辺へのあいさつ回り、地域行事、労働団体との政策討議などを続けてきました。9月の離党会見でも、地元・佐賀2区への思いを明確にしています。
ただ、2026年9月9日時点で「次の衆院選に佐賀2区から出馬する」と正式表明したわけではありません。本人は支援者・後援会と相談する考えを示しています。
中道改革連合の分裂を前に党を離れた大串氏は、無所属で自らの政治基盤を立て直しながら、既存政党をまたぐ「大きな塊」につながる連携を模索する姿勢を示しています。今後の所属や選挙への対応については、本人公式サイトの活動報告や公式Xで発信が続いています。

