2026年9月、国土交通大臣に初めて就任した井林辰憲(いばやし・たつのり)氏。静岡2区から選出された自由民主党の衆議院議員で、国土交通省の官僚から政治家へ転身した経歴を持っています。
自民党内では麻生派に所属し、税制や物流、道路政策などに関わってきました。2025年にはガソリン減税法案をめぐって衆議院の財務金融委員長を解任され、その後、2026年の衆院選で6回目の当選を果たしています。
井林氏の派閥と現在の立場をはじめ、国交大臣としての政策、解任の経緯、学歴・家族・地元での活動を、本人発言や公的資料とともに紹介します。
| 名前 | 井林 辰憲 |
|---|---|
| 読み方 | いばやし たつのり |
| 生年月日 | 1976年7月18日 |
| 年齢 | 50歳(2026年10月10日時点) |
| ゆかりの地域 | 静岡県川根本町(実家)・東京都(成育地) |
| 所属政党 | 自由民主党 |
| 派閥 | 麻生派(志公会) |
| 議員種別 | 衆議院議員 |
| 選挙区 | 静岡県第2区 |
| 当選回数 | 6回 |
| 初当選 | 2012年12月 |
| 現在の役職 | 国土交通大臣、水循環政策担当、国際園芸博覧会担当 |
| 前職 | 国土交通省職員 |
| 最終学歴 | 京都大学大学院工学研究科修了 |
| 主な役職歴 | 環境大臣政務官、内閣府大臣政務官、内閣府副大臣、衆議院財務金融委員長 |
| 公式サイト | 井林たつのり公式サイト |
| 公式X | @T_Ibayashi |
井林辰憲の派閥は麻生派(志公会)
井林辰憲氏が所属する自民党の派閥は、麻生太郎氏が率いる麻生派(志公会)です。
麻生派は、自民党内の政策集団の一つです。井林氏は2017年、麻生氏のグループと谷垣禎一氏に近い議員らによるグループが合流した際に、新たな政策集団へ参加しました。
当時の本人ブログには、志公会の発足に参加した経緯が記されています。その中で井林氏は、党への批判に向き合う姿勢を次のように表明しました。
「政治不信・自民党への批判にこたえていきます!」
出典:井林たつのり公式ブログ・志公会発足に関する投稿
2025年6月に財務金融委員長の解任決議が可決された際も、麻生氏は派閥の例会で井林氏を擁護しました。麻生派への所属は、時事通信の2025年6月19日の報道でも明示されています。
麻生派の中で税制・金融政策に関わってきた
井林氏の党内活動で特に目立つのが、税制に関する仕事です。
自民党税制調査会の幹事を務め、税制改正の重要事項を協議する「インナー」と呼ばれる幹部メンバーにも加わってきました。税制調査会は、消費税や所得税、法人税、各種控除など、国民生活や企業経営に関わる税制を議論する組織です。
所属派閥と政策分野の役職は別のものですが、井林氏の場合は、麻生派所属という党内の立場と、税制・金融政策に携わってきた実務経験の両方が政治経歴を形作っています。
井林辰憲は現在、国土交通大臣|2026年9月に初入閣
井林氏は2026年9月17日に発足した第2次高市改造内閣で、国土交通大臣に就任しました。初めての入閣です。
国土交通省は、道路、鉄道、空港、港湾、物流、観光、住宅、河川、災害対策などを幅広く担当します。井林氏は水循環政策と2027年国際園芸博覧会も担当しています。
- 防災・国土強靱化:豪雨災害への対応、河川整備、老朽化したインフラの対策
- 交通・物流:鉄道や道路、地域公共交通、物流の担い手不足への対応
- 成長分野:造船業、港湾、空港の機能強化、自動運転の推進
- 地域づくり:交通空白の解消、観光、地方への人の流れの創出
- 特命事項:水循環政策、2027年国際園芸博覧会の準備
就任翌日の9月18日の会見では、省庁再編によって一つになった国交省の組織を、旧来の縦割りにとらわれず動かしたいという考えを述べました。
「国土交通省の最大の強みは、現場力と総合力です。」
出典:国土交通省・2026年9月18日井林大臣就任会見
本人が以前から発信していた分野の一つが、地方の公共交通です。2026年6月には、公共交通機関の再構築を取り上げた「井林たつのり通信」第75号を駅前で配布したことをXで報告しています。
井林辰憲の経歴・学歴|芝高校から京都大学、国土交通省へ
井林氏は、京都大学大学院で工学を学び、国土交通省に入省した元官僚です。道路や河川の行政に携わった後、地元・静岡で政治家を目指しました。
高校は芝高校、大学は京都大学
高校については、東京都港区の私立芝高等学校の卒業生として、高校情報サイトの卒業生一覧に掲載されています。
大学は京都大学工学部環境工学科に進学。2000年3月に卒業し、2002年3月には京都大学大学院工学研究科を修了しました。
大学での専門分野は、後の仕事にもつながる環境工学です。2026年の大臣会見では、本人が大学時代の専攻として上下水道に触れ、社会基盤の維持管理について質問に答えています。
国土交通省で道路・河川行政を担当
2002年4月に国土交通省へ入省。大臣官房や道路局などで勤務し、2008年には沼津河川国道事務所の調査第二課長を務めました。
沼津河川国道事務所は、静岡県東部の河川や国道に関する整備・管理を担当する国の出先機関です。井林氏にとっては、国の行政を静岡県内の現場で経験する仕事になりました。
2010年6月、中部地方整備局地域道路課長を最後に国交省を退職。自民党静岡県第2選挙区支部長の公募に応募し、政治活動を始めました。
国会議員になってからの主な役職
| 時期 | 主な経歴 |
|---|---|
| 2012年12月 | 衆議院議員に初当選 |
| 2016年8月 | 環境大臣政務官・内閣府大臣政務官に就任 |
| 2019年11月 | 自民党税制調査会幹事に就任 |
| 2021年11月 | 自民党財務金融部会長に就任 |
| 2023年9月 | 内閣府副大臣に就任 |
| 2024年11月 | 衆議院財務金融委員長に就任 |
| 2025年6月 | 財務金融委員長を解任 |
| 2026年9月 | 国土交通大臣に就任 |
政務官は大臣を補佐して政策の実施に関わる役職で、副大臣はそれより上位の政治任用ポストです。井林氏は国会議員としての活動の中で、政府側と党側の双方の役職を経験してきました。
官邸が公開した過去の役職歴は、内閣府副大臣時代の公式プロフィールに掲載されています。
井林辰憲は何をした?税制・物流・地域政策での活動
井林氏の政治活動は、国土交通分野に限られません。財務金融委員会や自民党税制調査会での経験を通じ、税金、金融、社会保障に関わる議論にも参加しています。
税制調査会で消費税や給付制度を議論
2026年には、飲食料品の消費税率引き下げをめぐる党内協議や、給付付き税額控除についての議論にも関わりました。
給付付き税額控除は、税額を減らす仕組みと現金給付を組み合わせ、所得が低い人にも支援が届くようにする制度です。税負担をどう軽くするかという問題だけでなく、財源や制度運営も議論の対象となります。
2026年6月の公式Xでは、自民党本部で開かれた水道・下水道関係の会合や、給付付き税額控除を扱う合同会議で、司会進行を務めたことを報告しています。
本人公式サイトでは、2026年9月16日に飲食料品の消費税率を1%へ引き下げる案を紹介し、レジや会計ソフトの改修を含めた制度設計が必要だと説明しています。
これは当時の党内方針や制度案についての発信であり、消費税の引き下げが法律として施行済みという意味ではありません。本人公式サイトの活動動画紹介には、具体化に向けた課題も掲載されています。
物流政策や道路・自動運転の提言
物流分野では自民党の物流調査会長を務め、運送事業者の人手不足や制度の現場への浸透などを扱ってきました。
2026年7月には、自民党が道路整備・管理、自動運転、海事産業、水政策などの提言を政府へ申し入れています。井林氏が関わってきた政策分野とも重なります。
2026年6月の公式Xでは、高市首相への金融政策の申し入れや、木原官房長官への物流政策の申し入れを報告しました。
提言を政府へ提出することと、制度が成立・施行されることは別の段階です。井林氏が関与した仕事には、党内での議論の取りまとめや政策提言といった活動が含まれます。
水産業や茶業にも関わる
地元の焼津市は、水産業が盛んな地域です。井林氏は自民党の水産関係の組織や議員連盟でも活動し、漁業、水産加工、物流などに関連する政策へ関わってきました。
2026年6月には、焼津市の水産振興に関する行事に参加した様子を本人のXで発信しています。
茶業についても、2026年9月に日本茶のブランドを守る取り組みをテーマにした動画を公開。海外市場での日本茶の評価が高まる中、産地やブランドをどう守るかを取り上げました。
国土交通大臣としての政策|リニア・防災・公共交通
国交大臣就任後は、本人が掲げる政策だけでなく、実際に省として発表した対策も具体化しています。
リニア中央新幹線の静岡工区にどう向き合う?
静岡県選出の井林氏にとって、リニア中央新幹線の静岡工区は地元とも関わる政策課題です。工事に伴う大井川の水資源や環境保全、地域の理解をどう確保するかが議論されてきました。
2026年9月25日の国交大臣会見では、JR東海による工事について、環境保全措置と地域との関係を重視する考えを示しています。
「地域の理解と協力を得ながら、適切かつ着実に工事を推進していただきたいと思っています。」
出典:国土交通省・2026年9月25日井林大臣会見
国交省はリニア事業を所管する立場ですが、工事を行う主体はJR東海です。国と事業者、静岡県や地域の関係者との調整が続いています。
豪雨災害への対応と「チーム印旛沼」
2026年9月の台風25号による被害を受け、井林氏は千葉県の印旛沼周辺で緊急排水や堤防の応急復旧を進める方針を発表しました。
この対策では、千葉県、水資源機構、関東地方整備局の3者による「チーム印旛沼」の結成を表明。排水ポンプの増強や浸水箇所の排水、決壊した堤防の応急復旧などを掲げました。
計画の内容は、国土交通省の9月25日会見で公表されています。
成田空港や鉄道の復旧、冠水事故の防止
10月4日には成田空港と千葉県内の豪雨被災地を視察。空港の機能強化や、被災した鉄道の運転再開に向けた対応について、現場や自治体の関係者と意見を交わしました。
10月6日の会見では、豪雨で道路のアンダーパスが冠水する事故を防ぐため、事前通行規制や遮断機の設置などを整理したガイドラインを国交省として公表したことも説明しています。
アンダーパスは、道路や鉄道の下をくぐる低い道路部分です。短時間の大雨で水がたまりやすく、車両の水没などにつながるため、道路管理者による対策が求められています。
井林辰憲はなぜ解任された?ガソリン減税法案をめぐる対立
井林氏の政治経歴の中で、大きな論争になったのが2025年6月の財務金融委員長解任です。
2025年6月18日、井林氏に対する衆議院財務金融委員長の解任決議案が、野党の賛成多数で可決されました。
背景にあったのは、ガソリン税の暫定税率を廃止する法案の審議をめぐる与野党の対立です。
解任までに何が起きた?
当時、野党はガソリン税の暫定税率を廃止する法案について、衆議院財務金融委員会での審議を求めていました。
野党側は、井林委員長が審議入りに応じなかったとして解任決議案を提出。与党側は、法案の扱いは与野党間の協議や財源の問題を踏まえる必要があるとして反論しました。
| 2025年6月17日 | 野党側が解任決議案を提出 |
|---|---|
| 2025年6月18日 | 衆議院本会議で解任決議案を可決 |
| 決議の結果 | 井林氏は財務金融委員長を解任 |
| その後 | 新しい委員長が選出され、法案審議が進められた |
解任に対する井林氏本人の説明
解任決議の可決後、井林氏は報道陣の取材に対し、突然の決議提出への不満を表明しました。
「突然こういう解任決議を出されたということに関して、非常に暴力的なものを感じております」
出典:TBS NEWS DIG・2025年6月18日の報道
解任を求めた野党側と、委員長を擁護した与党側では、国会運営への評価が対立しました。解任決議案の採決では、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党などが賛成し、自民党や公明党などが反対しています。
解任されたのは財務金融委員長の職であり、衆議院議員を失職したわけではありません。 この件によって国会議員としての資格が取り消されたという情報は誤りです。
井林辰憲の選挙区は静岡2区|2026年の衆院選で6選
井林氏の選挙区は、静岡県第2区です。対象地域は、島田市、焼津市、藤枝市、牧之原市、吉田町、川根本町です。
2012年の衆議院議員総選挙で初当選して以降、小選挙区で当選を重ねてきました。
これまでの当選歴と得票数
| 選挙年 | 得票数 | 結果 |
|---|---|---|
| 2012年 | 108,510票 | 初当選 |
| 2014年 | 129,311票 | 2期目当選 |
| 2017年 | 130,857票 | 3期目当選 |
| 2021年 | 131,082票 | 4期目当選 |
| 2024年 | 113,419票 | 5期目当選 |
| 2026年 | 152,012票 | 6期目当選 |
出典:井林氏公式プロフィール、テレビ静岡・2026年衆院選開票結果
2026年衆議院選挙の結果
2026年2月8日の衆院選では、中道改革連合の鈴木岳幸氏と争い、井林氏が当選しました。
| 候補者 | 得票数 |
|---|---|
| 井林辰憲(自民党) | 152,012票 |
| 鈴木岳幸(中道改革連合) | 61,915票 |
両候補の得票差は90,097票でした。
選挙結果の詳細は、静岡県選挙管理委員会の開票資料でも公表されています。
地元では街頭活動や地域行事に参加
井林氏は国会での活動だけでなく、地元での戸別訪問や地域行事への参加も続けています。
2026年6月の本人公式Xには、住民の声を聞くための地域訪問や、川根本町での党支部総会などに参加した様子が投稿されています。
井林辰憲と旧統一教会の関係は?公表された接点
井林氏については、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)および関連団体との接点も公表されています。
2022年9月8日、自民党は所属国会議員を対象とした点検結果を公表しました。その中で井林氏の名前は、旧統一教会関連団体の会合に本人が出席し、挨拶をした議員として掲載されました。
この分類は、テレビ朝日が掲載した自民党の点検結果一覧でも確認できます。
公表された接点は「関連団体の会合への出席と挨拶」です。 この事実だけで、井林氏が教団の信者であることや、違法行為に関与したことまで示されるわけではありません。
また、麻生派への所属と、他派閥などで問題となった政治資金収支報告書の不記載への関与は別の論点です。政治資金に関する問題を扱う際には、個人について公表された資料と、派閥全体に関する報道を分けて考える必要があります。
井林辰憲の妻・子供・実家は?家族や人物像
妻と2人の娘がいる
井林氏は結婚しており、家族は妻と長女、次女です。
本人の公式プロフィールに家族構成が記されているほか、衆議院の公式プロフィールにも、妻と娘2人と過ごす時間をリラックス方法として紹介する記述があります。
妻や娘の氏名、詳しい年齢、勤務先、学校などについては、家族構成とは別に扱うべき私的な情報です。公表されていない詳細を推測で補うことはできません。
実家は川根本町で5代続く茶農家
井林氏の実家は、静岡県川根本町の茶農家です。本人は、自分の代で5代目にあたると紹介しています。
両親の仕事の関係で東京に住んでいた一方、川根本町の実家にはよく帰っていたそうです。
本人公式サイトには、高校生の頃、祖母から将来は故郷へ帰ってきてほしいと頼まれた出来事が記されています。故郷に家族が戻れる社会をつくりたいという思いが、政治を志すきっかけの一つになったと説明しています。
「家を愛し、地域を愛する気持ちが政治に一番必要だと信じています。」
出典:井林たつのり公式サイト・政策ポリシー
若い頃の経験と教育への考え方
井林氏は、子どもの頃に学校給食費の支払いを免除されていた家庭だったことを、後に母親から聞いたと明かしています。
その経験を踏まえ、家庭の経済状況にかかわらず、子どもが夢や目標を持ち、努力して実現できる社会を目指す考えを公式サイトに掲載しています。
教育機会と家庭の経済的な事情を結び付けた主張は、国土交通や税制とは別の、本人の政治的な問題意識です。
趣味は野球と水泳、好物はお茶
本人公式プロフィールによると、趣味は野球と水泳。中学・高校では野球部に所属し、大学時代はバスケットボールに熱中していたと衆議院のプロフィールにも記されています。
好物には焼き魚、白米、お茶を挙げています。また、著書として『キセキ~四百万円からの選挙戦』『外から見た静岡』があります。
井林辰憲の事務所はどこ?ブログ・公式X・連絡先
井林氏の地元事務所は静岡県藤枝市にあります。公式サイトでは、事務所の所在地や電話番号を案内しています。
| 所在地 | 〒426-0037 静岡県藤枝市青木3-13-8 |
|---|---|
| 電話番号 | 054-639-5801 |
| FAX | 054-639-5802 |
| 事務所案内 | 公式サイト・事務所案内 |
後援会や活動への問い合わせ、秘書を通じた連絡などは、公式に案内されている窓口を利用する形になります。訪問する場合は、事前に受付時間や対応状況を確認してください。
ブログは「一生懸命。」
井林氏は、Amebaブログで「井林たつのりオフィシャルブログ『一生懸命。』」を公開しています。
国会での活動だけでなく、地元行事や政治に対する考え、支援者への報告などが掲載されてきました。過去の派閥参加や選挙活動の経緯を、本人の文章からたどる際にも役立ちます。
公式SNSや活動動画
2026年秋の井林辰憲|国土交通行政で進む課題
2026年10月時点で、井林氏は国土交通大臣として、災害復旧や交通機関の維持、インフラ整備などの課題に対応しています。
具体的には、千葉県の豪雨被害に伴う鉄道の代替輸送、成田空港の機能強化、道路の冠水事故防止に加え、JR北海道の赤字ローカル線について国が主体的に協議に関わる方針などが公表されています。
2026年9月30日には、本人公式サイトで全国軽自動車協会連合会の会長との対談動画も公開しました。地方の暮らしを支える交通手段として軽自動車を取り上げ、静岡県との関わりも紹介しています。
国土交通大臣としての発言や政策対応は、国土交通省の大臣記者会見ページに継続して掲載されています。2026年10月9日の会見も公開されており、国交行政の動向を追うための公式情報源となっています。

